【石川県】加賀百万石の歴史が豊かな文化育んだ石川県

石川県は、本州中央部の日本海沿岸に位置する県です。人口は114万人ほど。県庁所在地のある金沢市は、季節を問わず美しい景色が見られるよう設計された「兼六園」があることでも有名です。

東西約100km、南北約200Kmと南北に細長い形状をしており、自然環境や文化や伝統の違いがあり大きく4つのエリアに分けられます。

・「奥能登」と呼ばれる能登半島の先端部は、世界農業遺産にも認定された豊かな里山里海があります。
・「中能登」は、能登半島国立公園を代表する景勝地に恵まれ、金沢へは90分圏内と利便性もあり通勤者も多いエリアです。
・「金沢近郊」は社会インフラが整備され、文化的な施設や大学などが集積しています。
・「加賀・白山」は、九谷焼をはじめとした伝統工芸や、機械・電子などが盛んです。小松空港もこのエリアにあり、温泉地も点在しています。

茶屋街

金沢文化を代表する茶屋街のひとつに「ひがし茶屋街」があります。金沢駅からは車で10分程度。「木虫籠(きむすこ)」と呼ばれる出格子は、金沢が誇る茶屋街のシンボルともいえます。京都の町家に見られる一般的な格子に比べて、細く、狭い作りになっているもが特徴です。
伝統工芸品を取り扱うセレクトショップや、カフェなど気軽に立ち寄れるお店も多くあります。情緒あふれる古い町並みは、外国人観光客にも人気のスポットとなっています。

加賀百万石文化が育んだ伝統工芸品

金箔

雨が多く湿度の高い金沢は、乾燥を嫌う金箔の製造に最適でした。また、粘り強く繊細な作業を得意とした職人の気質により、金沢は国内の金箔生産量99%以上を占める産地となりました。
古くは権力の象徴として諸大名が瓦、内装装飾などさまざまな場所に金箔を使っていたと推測されています。現在では、金箔を使った工芸品をはじめ、アクセサリー、化粧品、金箔食品など気軽に楽しめる商品も多く扱われています。

輪島塗

輪島市で生産される漆器で、装飾には沈金(金粉や金箔を埋め込む蒔絵の手法)が盛んなのも特色のひとつです。その製造工程は124工程もあると言われ、大変複雑で手間と時間がかかります。輪島塗の特徴を表す際には「堅牢かつ優美」という言葉が用いられることも多い大変美しい伝統工芸品です。

九谷焼

金沢市、小松市、加賀市、能美市で生産される色絵の磁器です。明治時代には大量の九谷焼が海外へ輸出されたことでその名が広がりました。豪快かつ色調渋く独特の魅力があり、柿右衛門、色輪島、仁清と並んで、日本の色絵陶磁の代表的なものとなっています。

石川県のケンミンショク

加賀れんこん / 加賀野菜

加賀藩五代藩主前田綱紀が参勤交代の折に蓮のたねを持ち帰り、その後栽培されたのが「加賀れんこん」の始まりとされています。強い粘りをもち、きめ細かい質感が特徴。金時草や、加賀太きゅうり、ヘタ紫なす、五郎島金時などを称して加賀野菜と呼ばれます。

加賀料理

加賀の豊富な食材を用いた郷土料理で、代表的なものに治部(じぶ)煮や、蕪(かぶら)寿しなどがあります。京風と江戸風が融合されており、豪華な九谷焼の皿や加賀蒔絵を施した漆器に盛って供されます。

ふぐの卵巣の糠漬け

冬場の保存食として発達した発酵食品の一つで、ふぐの卵巣を塩漬け・糠漬けにしたものです。猛毒をもつふぐの卵巣を2年以上漬けることで毒素が消滅されますが、そのメカニズムはいまだに解明されていない不思議な食品です。

香箱ガニ

ずわいがにの雌蟹を、石川県では「香箱ガニ」と呼びます。雄のずわいがにと比べて、大きさは小さくありますが味は抜群とされます。特にお腹に抱えた卵を外子と、甲羅の中にある内子(未成熟卵)は絶品です。

金沢カレー

金沢カレーの火付け役となったのが「ゴーゴーカレー」です。金沢カレーの特徴は、濃厚でドロッとしたルーに付け合わせのキャベツ、ルーの上にはカツを乗せソースをかけます。ステンレスの皿に盛られ、フォークや先割れのスプーンで食べます。

冬の風物詩となった兼六園の雪吊り

兼六園では、湿度のある重い雪から樹木を守るため、毎年11月1日から雪吊りが実施されます。500本を超える木々は、雪吊りの技術をもつ庭師によってすべて手作業で行われます。
夜にはライトアップがされ、雪が降る日にはより一層に幻想的な姿を魅せてくれます。

食べて美味しく見て美しい「白米千枚田」

輪島市白米町にある棚田で、日本海に面して小さな田が幾えにも重なり海岸まで続く景色は、まさに絶景です。2011年には世界農業遺産にも選定されました。
田植えが始まる5月ごろは、棚田に張られた水面に映る空の青、日本海のきらめく濃青、瑞々しい若芽の緑のコントラストが美しい季節です。
収穫が始まる9月〜10月ごろは、黄金色に輝く稲穂がしなやかに風に揺らめきます。
また、10月中旬〜3月中旬にかけては、優しい光のイルミネーションに彩られます。

まとめ

エリアによってさまざまな表情をもつ石川県。能登半島で、日本海の美しさや新鮮な海鮮類を堪能するのもよし。金沢市で、今の残る加賀藩の栄華を感じるもよし。それぞれの楽しみ方がありそうです。

小高朋子(kotaka)
1982年、神奈川県生まれ。アパレル、映像制作会社を経てフリーのライターへ。農業・食・旅を中心に取材記事を執筆する。
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